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頭の片隅でこれ以上はダメだと警告音が鳴っていた。
けれど、わたしは一度流れ出した感情を止めることが出来ない。
「あんなことをして、恥ずかしくないの?」
「は?」
「とぼけるのは止めなさい」
頬を押さえた愛莉がゆっくりと顔を上げて、わたしを睨んだ。
「何も知らないくせに、勝手なことを言わないでよ」
「愛莉」
「気安く名前を呼ばないで!あたし達を見捨てて家を出て行ったクセに、偉そうになんなの!」
「見捨てたりしてない」
「嘘よ!ここで愛人なんてして、楽に暮らしているじゃないっ」
愛莉は、身体を震わせながら涙を拭った。
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