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「あれから、アンタが家を出て行ってから、毎日借金取りが家に来るようになった。
パパとママは顔を見れば喧嘩するようになって。
そのうち、パパはママを殴るようになった」
「……そんな……」
温厚な父が母を殴るなんて想像も出来ない。
けれど、愛莉が嘘を言っているようにも思えなかった。
愛莉の大きな瞳からは、涙が止め処なく零れ落ちていく。
無意識にそれを拭おうと伸ばしたわたしの指先は、愛莉の冷たい手によって振り払われてしまった。
「だからって、愛莉があんなことをする理由にはならない」
「お金が必要なのっ」
「何のために?」
身体で稼いだお金を両親に渡すなんて考え難い。
だとしたら、一体何の為にお金が必要だというのだろう。
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