第5話

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     いつものように取り留めない言葉を交わして食事を終える。 明日、外食だなんて……。 今まで頑なにわたしを誰にも逢わせようとしなかった陸。 嫌な予感がするのは、気のせいなんかじゃない。 平静を装っているつもりでも、陸の仕草や言葉尻から苛立っているのが伝わってくるからだ。 食器を片付けて寝室に戻ろうとすると、不機嫌な声で呼び止められた。 「友香」 「なに?」 「薬、飲んでないだろ?」 「……今日は、飲みたくないの」 そう答えると、陸は口角を上げて意地悪な笑みを浮かべた。 「もしかして、俺に飲ませて欲しいのか?」
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