第5話

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  「……っ」 この前の出来事が脳裏に蘇って頬がカッと熱くなる。 陸に付けられた情事の痕は既に消えてしまったけれど。 あの時の陸の体温だけは、今も消えずにわたしの肌に残っていた。 「友香?」 「あんな真似は二度としないで」 声を荒げると、陸はクククと喉で笑った。 陸をキッと睨みつけて、ドアノブに手を掛ける。 「そんなに怒るなよ」 陸の声を背中で受け止めながら、わたしはバスルームに駆け込んだ。 陸の言葉一つでこんなに動揺するなんて。
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