第5話

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     何とも言えない感情に支配されて唇をキツク噛む。 陸との生活は、長くは続かない。 何れわたしは一人になる。 陸は彼女と結婚して、愛のない結婚生活を送るのだ。 彼女が陸を手放すまで、ずっと……。 バスルームから出て、洗面台で髪を乾かす。 それからリビングに戻ると、入れ替わりに陸がバスルームに向かった。 冷蔵庫を開けてミネラルウォーターを取り出す。 喉を潤してソファーに凭れかかると、足を胸に抱え込んで丸くなった。 なんだか、少しだけ眠い。 このままこうしていると眠ってしまいそうだ。 起きなくちゃ。 そう思うのに、瞼が重くて持ち上げることが出来ない。
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