第5話

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     「ここで寝ると風邪を引く」 グイと、肩を掴まれて起こされた。 「……陸?」 ぼやけた視界の先に見えるのは陸。 そう、ここには、陸と二人きり。他の誰も居ないのだ。 そんな当たり前のことを確認するように手を伸ばす。 陸の腕をギュッと掴むと、そのまま抱き起こされた。 陸からわたしと同じボディソープの香りがする。 なぜだか胸の奥がむず痒いような感覚になって、また瞼を閉じる。 「身体が冷えているじゃないか」 陸はため息まじりにそう言うと、わたしを横抱きに抱え上げて寝室に向かった。
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