第5話

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   陸が一歩踏み出す度に身体が揺れて、無意識に陸にしがみ付く。 「起きてるんだろ?」 「……ん」 陸の意地悪な声に、バツが悪くて小さな声で短く答えたけれど。 本当のところは、ソファーで陸を待っていたのだ。 陸の首に軽く歯を立てる。 それから、陸がわたしにそうするように、赤いしるしを付けた。 わたしを抱えて両手が塞がっていた陸は、驚いたように身体を強張らせたけれど、わたしを振り落しはしなかった。 「何のつもりだ?」 「なんとなくよ。意味なんてない」 「…………」 ムッとしたように陸は黙り込む。
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