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陸が一歩踏み出す度に身体が揺れて、無意識に陸にしがみ付く。
「起きてるんだろ?」
「……ん」
陸の意地悪な声に、バツが悪くて小さな声で短く答えたけれど。
本当のところは、ソファーで陸を待っていたのだ。
陸の首に軽く歯を立てる。
それから、陸がわたしにそうするように、赤いしるしを付けた。
わたしを抱えて両手が塞がっていた陸は、驚いたように身体を強張らせたけれど、わたしを振り落しはしなかった。
「何のつもりだ?」
「なんとなくよ。意味なんてない」
「…………」
ムッとしたように陸は黙り込む。
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