第5話

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「服が濡れてる」 陸に口移しされた水の大半は零してしまった。 その所為でわたしの着ているシャツは、首から伝う水で大きなシミを作っていた。 「着替えるから出て行って」 そう言ったわたしに、陸は甘さを含んだ声で名前を呼んだ。 「友香……」 途端に空気が変わる。 「嫌だ」と言う前にベッドが軋んで押し倒されていた。 陸の指先が慣れた手つきでシャツの裾から滑り込んでくる。 「陸っ」 「……」 陸は何も言わず、もう片方の手で器用にボタンを外していった。
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