第5話

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   だけど、今夜の陸は違った。 優しくわき腹を撫でて、それから胸のふくらみに到達した陸の指は、少しの迷いも無く強弱をつけて揉み始めた。 わたしの身体を知り尽くしているように。 丁寧に、そして的確にわたしに甘い刺激を与え続ける。 それは、自分の欲を満たすためだけでは無いように感じられて、わたしは酷く混乱した。 「やっ、陸っ」 もう止めてと、懇願するように陸にしがみ付く。 このままでは、わたしは本当の意味で壊れてしまう。 それなのに、陸はフッと小さく笑うと、艶やかな声でわたしの名前を呼んだ。 「友香」 その声は、空のもの。 ……空?いや、違う。 わたしを抱いているのは、陸なのだ。
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