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第6話
ガラス玉のような久保さんの瞳が妖しく光る。
ピンと張り詰めた空気の中、小さく息を吐き出すと、久保さんは、わたしをじっと見据えた。
それから、ゆっくりと口を開く。
「僕はね、彩夏に幸せになって欲しいと思っているんだ。
でも、君がいると陸の気持ちが彩夏に向かないだろう?」
心に刺さるような冷たい声。
それに負けないように、ギュッと拳を握り締める。
「わたしと陸は、久保さんが思うような関係じゃありません」
そう言うと、久保さんはバカにしたように鼻で笑った。
「どうして、陸が君を僕に渡そうとしたと思う?」
「……そんなこと、わかりません」
「嫉妬に狂った彩夏が、君に何をするかわからないからだよ」
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