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『嫉妬に狂った彩夏』
その言葉で、彼女がわたしにしたことが鮮明に脳裏に蘇る。
男達に拉致されそうになり、病院では首を絞められた。
あの時の彼女の表情を思い出すと呼吸が乱れて苦しくなっていく。
彼女は本気だった。
わたしの首をあの細い腕からは想像も出来ない程の強い力で締め上げたのだ。
その感触を拭うように首に手をあてて呼吸を整える。
でも……。
どうして久保さんと一緒にいると彩夏さんがわたしに手を出さないの?
顔を上げて久保さんを見ると、そんな疑問に答えるように久保さんが口を開いた。
「彩夏と僕は遠い親戚なんだよ。僕にとって、彩夏は妹のような存在なんだ」
そう言って、少しだけ目を細める久保さんの表情は憂いを帯びていた。
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