第6話

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   「あの……」 意を決して口を開く。 「食事は終わりましたよね?何も無ければ、わたしはこれで」 そう言って腰を浮かしかけたわたしの手を 久保さんはテーブルに押し付けて引き止めた。 「座って」 「……ッ」 威圧感のある声に肩がビクリと震えた。 言われるまま、もう一度腰を下ろす。 顔を上げるとガラス玉のような黒い瞳に見詰められた。 久保さんの薄い唇が弧を描く。 「来月、パーティに僕の恋人役として同伴して欲しいんだ」 「……パーティ?」 恋人役なんて、わたしじゃなくてもいいはずだ。 それなのに、わたしに頼むということは……。
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