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「あの……」
意を決して口を開く。
「食事は終わりましたよね?何も無ければ、わたしはこれで」
そう言って腰を浮かしかけたわたしの手を
久保さんはテーブルに押し付けて引き止めた。
「座って」
「……ッ」
威圧感のある声に肩がビクリと震えた。
言われるまま、もう一度腰を下ろす。
顔を上げるとガラス玉のような黒い瞳に見詰められた。
久保さんの薄い唇が弧を描く。
「来月、パーティに僕の恋人役として同伴して欲しいんだ」
「……パーティ?」
恋人役なんて、わたしじゃなくてもいいはずだ。
それなのに、わたしに頼むということは……。
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