第6話

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  不意に空の言葉を思い出す。 『僕と付き合ってください』 何度目かのデートで言ってくれた言葉。 あの時は、嬉しくて空の目の前で泣いてしまった……。 空の表情が。 その声が。 あまりにも真剣だったから。 そして、空はわたしの初めての人になった。 身体を引き裂かれるような痛みは、空だから堪えられた。 痛くて苦しくて。 だけど、それでも、幸せだった。 ……空に逢いたい。 幸せだった頃の、空にもう一度逢いたい。
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