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バスから降りて、見慣れた街を歩いていく。
ここに訪れるのは、いつ以来だろう。
あの角を曲がれば、見えてくる建物。
何事もなければ、父の会社がそこにあるはずだ。
ずっと、気がかりだった。
実家が無くなってしまった今、もしかすると会社も倒産したのではないかと心配だった。
怖かった。
現実を目の当りにすることが。
自分がしてきたことが無駄だったと、思いたくなかったのだ。
不安で押し潰されそうになる胸を押さえて角を曲がる。
わたしの視界に映ったのは……。
記憶の中と同じ景色。
社名もそのままに、会社はそこに存在していた。
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