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適当なところで話を切り上げて、この場を立ち去ろうと思っていたときだった。
「そう言えばさ」と丹羽さんが言葉を続ける。
「さっき、堂本グループの御曹司が来てたんだよね。あの人、友香ちゃんの知り合いなんだって?もしかして、友香ちゃんの彼氏だったりするの?」
どうなの?とニヤニヤと笑っている丹羽さんを他所に、わたしはその場で凍り付いていた。
……陸が、ここに来ていた……。
その事実に指先が震える。
「……何をしに、ここへ?」
「さぁ?詳しいことはわからないけど、仕事の打ち合わせじゃない?」
「あの、父はどこに?」
「御曹司と一緒に出て行ったけどね。どこに行ったか詳しくはわからないなー」
本当に仕事の話でここに来てたの?
もう何も起こらないはずじゃなかったの?
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