第8話

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    「陸、聞こえる?」 陸の手を取って、軽くマッサージを施した。 「爪、伸びたね。あとで切ってあげるから」 「…………」 陸は何も答えない。 けれど、わたしには微笑んだようにも見えた。 陸の手を握って、今日も同じ言葉を繰り返す。 「空も、陸が目覚めるのを待ってる。 だから、お願い。一日でも早く目を覚まして……」 陸はやはり、何も答えない。 そして、わたしは。
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