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第8話
呼吸をするのも忘れて、瞬きさえ出来ずに、ただ見詰め合っていた。
音も無く彼の腕が伸びてきて、わたしを引き寄せる。
バランスを崩したわたしは、彼の胸に飛び込むように倒れこんだ。
彼の鼓動が聞こえる。
抱きしめられて、二人の距離がより近くなる。
あぁ、良かった。
空に、また逢えた。
そう思って、彼の背中に腕を回そうとした瞬間
「いつから、俺が『空』だって気付いてた?」
陸の低い声によって、現実に引き戻された。
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