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夜十時を過ぎた頃、もう遅いからと愛莉を家まで送っていった。
新しい家は、町外れの今にも壊れそうな小さなアパートだった。
「汚くてびっくりした?」
「いや……」
言葉を詰らせる俺に、愛莉は苦笑いを浮かべて車を降りた。
「……じゃ、陸さん、またね」
「気をつけて」
「うん」
車の中から、愛莉に向かって軽く手を振る。
出来るなら、友香には知らせたくない。
このときのことを写真に撮られているとは思いもせずに、俺はどうしたものかと頭を抱え込んでいた。
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