第10話

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「怪我はないか?」 「…………」 「友香、怪我は?」 友香はビクリと肩を震わせて、小さく頷いた。 手首は赤くなっているが、目立った外傷はないようだ。 友香に怪我が無いことにホッと安堵の息を吐く。 それにしても、間に合って良かった。 もう少し到着が遅れていたら、どうなっていただろう。 それを考えると、背中にジワリとイヤな汗が滲む。 ……あの女、赦せない。 彩夏に対して沸々と怒りが湧いてくる。 とりあえずマンションに戻ろうと、友香の手を引こうとしたときだった。 「触らないで」 嫌悪感を露にして、俺の手を振り払う友香。 その表情は怒りに満ちていて、俺のことを拒絶しているように思えた。
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