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「怪我はないか?」
「…………」
「友香、怪我は?」
友香はビクリと肩を震わせて、小さく頷いた。
手首は赤くなっているが、目立った外傷はないようだ。
友香に怪我が無いことにホッと安堵の息を吐く。
それにしても、間に合って良かった。
もう少し到着が遅れていたら、どうなっていただろう。
それを考えると、背中にジワリとイヤな汗が滲む。
……あの女、赦せない。
彩夏に対して沸々と怒りが湧いてくる。
とりあえずマンションに戻ろうと、友香の手を引こうとしたときだった。
「触らないで」
嫌悪感を露にして、俺の手を振り払う友香。
その表情は怒りに満ちていて、俺のことを拒絶しているように思えた。
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