421人が本棚に入れています
本棚に追加
久保が何を言っても、彩夏は聞く耳をもたないのだろう。
彩夏の俺に対する執着は異常だ。
友香をこれ以上巻き込みたくはない。
席を立とうとすると、友香が慌てた様子で口を開いた。
「マンションの権利書を返したいの」
友香は、俺からの施しを受けたくないという。
迷惑だったら処分してくれて構わない。
前にも、そう言ったはずだった。
「そんな話をするために、俺を呼び出したのか?」
友香が俺に会いに来た理由は他にあるのだ。
わかっていても、冷たい態度を取ってしまう。
最初のコメントを投稿しよう!