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「この部屋を出たら、彩夏に見付からないように帰ってくれ」
そう告げて見詰めると、友香は悲しそうに目を伏せて唇を噛んだ。
友香、そんな顔をしないでくれ。
傷つけたいわけじゃない。
ただ、俺は……。
言えない言葉がもどかしくて、胸が苦しくなる。
「もう二度とこんなマネはするな。迷惑だ」
さらに追い討ちを掛けるように冷たい言葉を投げ付けたのは、
俺の未練がましい気持ちを断ち切るためだった。
もう二度と逢いたくない。
友香を欲している自分を忘れてしまいたいのだ。
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