第11話

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「この部屋を出たら、彩夏に見付からないように帰ってくれ」 そう告げて見詰めると、友香は悲しそうに目を伏せて唇を噛んだ。 友香、そんな顔をしないでくれ。 傷つけたいわけじゃない。 ただ、俺は……。 言えない言葉がもどかしくて、胸が苦しくなる。 「もう二度とこんなマネはするな。迷惑だ」 さらに追い討ちを掛けるように冷たい言葉を投げ付けたのは、 俺の未練がましい気持ちを断ち切るためだった。 もう二度と逢いたくない。 友香を欲している自分を忘れてしまいたいのだ。
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