第1章

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 やがて。そんな俺と、そんなお袋から、友人達は去り。  お袋と自分が、嫌になって。  地方から東京へ飛び出した。  コネもなく、秀でた容姿も才覚もなく。  巡り回されてくる小さなチャンスに、ただひたすら、しがみついていた。「芸能人」に。  テレビを観ている人達に、ただひたすら、アピールしてきた。  「俺」を。騒ぐだけで。  そして、地元へ帰ったある日の今日。  お袋の罪に出会った。  お袋自身には悪気のない、お袋の邪悪。  俺は、そう思いたかった。  同い年くらいの、一般の女性から言われた、  “今の”一言を。
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