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友人として配慮すべきだと悟り、
できる限りの笑顔をつくり振り向いた。
「うん。ちょっと近くまで寄ったついでに、
おしゃべりしようかなって思っただけなの。
本当にくだらないことだから、ごめん。また今度ね。
お邪魔しました」
最後の一言は、先にやってきた来訪者に向けて放った。
その姿を確認する前に、またひやりと冷たい外へと出る。
エレベータの前でボタンを押して待つ間、
静かな廊下で、大きくため息をついた。
頭を冷やしたくて友人宅まで歩いてやってきた私は、
再びこの雪の中、歩いて帰る気力は残ってはいない。
泣いて想いをぶちまけたい気分だった私は、
行きつく場所を失ってしまいどうしたらいいのか判らなくなっていた。
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