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口にした途端、頭の中にあったモヤモヤが掻き消えた。
心の中で、ずっと答えを求めていた気がする。
私が出した答えに
満足そうに口角を引き上げて歪んだ笑顔を、彼は作る。
「君の彼に聞いてみたらどうだい?」
そういって、私の頬に彼は触れた。
その手を払えずに、ずるい男の瞳の奥を覗き込む。
真意が見えない。
空の上にいる小栗に、正解を尋ねることはできない。
不安だけがはらはらと空から舞い落ちる。
「外...。雪に変わったよ」
阿部さんは部屋の窓の外を覗き込んで呟く。
外の温度を感じない室内で、ぶるっと体を震わせた。凍えそうだ。
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