キスフレ2nd kiss Vol 23

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その顔は、しばらく見ない顔だったが知っている人物だった。 男は、向井真(むかいまこと)さん。 レーナの同僚で、セフレの彼だ。 腰に巻いたタオルをおもむろに彼は直しながら、 バツが悪そうな苦笑いを浮かべている。 かき上げるウエーブの髪はしっとりと濡れていた。 「あ、ごめん。向井は気にしないで、上がって」 そうレーナは屈託なく笑って言ったが、 私は招かれざる客であることは明白だった。 室内の暖かさで雪が溶け、肩を湿らす。 ずんと沈み込む感情が 圧し掛かったコートが私を外へと引っ張り出す。 「大したことじゃないから、また今度にするね」 私は踵を返し、ドアノブを掴んだ。
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