キスフレ2nd kiss Vol 23

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やはりレーナの言った通りに、自分の気持ちを言うのは、難しいようだ。 彼の仕事を応援できる女にはなれない。 彼に我儘をぶつけても、苦しませるだけだ。 彼の嬉しい気持ちや、決断を私は鈍らせちゃいけない。 こんなことで、感情を高ぶらせて、 彼への苛立ちを、どうにか吹き消せないのは、 簡単に感情をぶつけあえる距離にいないからだろうか。 黒くモヤモヤしたものを押さえつけて、 テーブルの端に放り投げたままのフランス語入門を、モニターに映した。 「そうだ、フランス語勉強始めたんだよ! 女性名詞と男性名詞のとこ、 今やってるんだけど意外と分かり易いね!フランス語!」 ドンと置いたA4サイズのテキストに、 「へえ、舞が語学勉強ね。やるじゃん」 「リヨンに行くまでに 少しでもわかるようにならなくちゃ」 そういった私に 嬉しそうな彼の声が響いた。 残念だったけれども 彼の楽しげな表情は、空色のテキストに隠れて見えなかった。
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