キスフレ2nd kiss Vol 23

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先日の飲み代を私が支払った後から 彼とは飲みに出かけることはなく、 家と会社の往復にとどまる。 わが彼氏は、多忙の極みで、出張続き。 連絡が取れない日もしばしば目立つようになった。 それに、リヨンでのプロジェクトについても、 GE社へと行くと告げた後から、口を閉ざすようになった。 もう、彼がどこにいるのかも皆無だ。 今までも、さっぱりわからない内容ではあったが、 尋ねるたびに話をはぐらかされるのは、 なんだか、隠し事をされているようで正直気分がいいものではない。 そんな彼との会話の時間は、癒されるより、 モヤモヤが雪山のように降り積もるだけである。 もはやスイスのモンブランに匹敵するほどの黒々とした山が 私の心には出来上がっていた。 プライベートがぎくしゃくしているのも、 仕事で首が回らないのも、 化粧水が切れたまま買いに行く時間もなく、 女を捨ててる日々も、全ての原因は、会社にある気がしてならない。 第二営業部時代に社長の電話に対して 非常に失礼な発言をした私としては、 これ以上の暴言が社長の耳に届く行為は、危険だと思い。 「みんな、社長のせいだ」 と、コーヒーのカップの中にぼそり呟くにとどまっている。
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