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「あ、肖像画、のモデルに、なんだけど……」
「あ、ああ……モデルね。俺でよければ……」
と、そこで気づく。
俺は今何のためにここにいるんだったか?
さりげなく廊下の方を見たら、釘バット娘はまだ隠れて覗いている。
「……いや、俺よりいい人材がいるぜ」
ニイッと昭島に笑いかけた俺はすぐに廊下へ飛び出し、釘バット娘を捕まえた。
「キャア! 何すんのよ!」
「ほら、こいつ。口は悪いが、見た目は結構可愛いだろ」
「高橋……さん?」
「ししし、知ってるんですか!?」
「そりゃ当たり前だろ、この学校で『釘バット娘』を知らない奴はいないぜ。な?」
「……うん」
恥ずかしいのか何なのか、釘バット娘は顔を真っ赤にしてうつむいた。
それからその場が静まりかえり、一向に動きがないので俺は仕方なく二人を急かす。
「ほらほら、もうすぐ下校時刻なんだから下絵ぐらい描いちまえ」
「あ……うん」
「あの、こっちの椅子に座ればいいですか?」
「はい。あと、ここから少し斜め、になるように、お願いします」
「わかりました」
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