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下描きが終ってすぐに、釘バット娘はまた覗き魔退治に出かけるらしかった。
「明日の放課後、暇な時、顔出してくれる?」
「は、はい!」
ニヤニヤと二人の光景の眺めていると、釘バット娘が俺の方にバッと振り返ってきた。
「先輩、『釘バット娘』っていうのやめてくださいよ。これでも嫌なんですから、その名前」
「ん?……ああ、わかった。高橋だっけね。じゃあ、昭島は彰太って呼ぶから俺のことは竜郎って呼べよ」
「あ……うん。竜郎……くん」
こっそり釘バット娘、改め高橋を見ると、頬を赤らめて少し悔しそうな顔をしていた。
「それじゃあ、失礼します!」
言うが早いか、高橋はさっさと美術室から出ていってしまう。
アイツ、からかい甲斐有り過ぎー!
「それじゃ、片付け始めるか」
「……うん」
彰太は画材などを片付け、俺は戸締まりをした。
途中笑い話をすると彰太は普通に笑って、教室での大人しさは人付き合いにまだ慣れていないからなのだろうと思った。
高橋といい、彰太といい、まったく世話のかかる奴らだ。
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