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放課後も俺は弱点を探るべく釘バット娘の尾行を始めた。
観察していると奴は行く先々で女子生徒たちから英雄として崇められていた。
「クソッ、弱点なんか見当たらないじゃないか!」
柱の陰で悪態ついていたら孝二がぼそりと呟く。
「お前の方が弱点いっぱいあるのにな~」
「うるさい。苦手なだけで弱点なんかじゃない」
「俺は同じだと思うけどな……。あ、俺バイトだから帰るわ」
言い終わると同時に孝二はさっさと離れていこうとする。
「そりゃないだろ、孝二君! 俺を一人にするつもりか!」
「おうよ。それに俺には彼女が出来たんだぜ」
「……what?」
「か・の・じょ。……OK?」
孝二に彼女が出来ただと?
あの孝二に……彼女が……、彼女が……
「うわーん! 裏切り者ー!」
「お前もそんなことしてないで彼女つくれよ~」
「そんな簡単に言うなよ、バカー!」
「ファイト。んじゃ、明日な」
「……」
颯爽と帰っていく孝二を軽く睨み、釘バット娘の方へ向くと奴は既にその場にいなかった。
「……あれ?」
もしかしなくても見失った?
「……はぁ」
大きな溜め息を吐き、とぼとぼと俺は教室に置いた荷物を取りに行くことにした。
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