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ごく普通の、ありきたりの宿泊施設だった。
他にも何組か宿泊客がいるらしく、家族連れの姿もあった。
小学生位の男の子と女の子が、ロビーを駆け回っているのが微笑ましかった。
チェックインを済ませると、部屋へと案内される。
入口付近で室内設備や非常口の説明をし終えると、従業員は去って行った。
「ふぅ~」
やっと休めると、私も彼も思い思いに寛いだ。
さほど広くもないのに、中央に鎮座するベッドが圧迫感を与える。
息苦しさに窓を開けると、その向こうには林が見えた。
ふと視線を巡らせれば、薄汚れた白い壁紙の隅の方が剥がれかけている。
「それはそれで味わい深いんじゃない?」
彼の言葉に、このプチホテルを選んだ最大の理由が宿泊代が安かったからという単純なものだと思い出す。
当初はツインを希望していたが、予約時にダブルしか空いていないと言われ、眠るだけだから構わないかと納得していたので文句などなかった。
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