CASE.3 C子さん(仮名)

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 入れ替わるように彼が窓辺に近付き、椅子を引き寄せると煙草に火を点ける。  座りながら煙を目で追う姿に微笑みつつ、部屋に備え付けられている洗面所へと向かうと、蛇口をひねった。 「……っ!」  息を飲んだ。出てきた水の色が真っ赤だった。しかし、やがていつも目にしている透明になると、何事もなかったように流れ続ける。  釈然としない気持ちのまま恐々と手を洗い、部屋に戻ると彼の声が届く。 「どうした? 顔色悪いけど?」  今、見た事を伝えると彼は笑いながらも、優しく教えてくれる。 「余り使われてないと水道水に錆が混ざる事があるらしいよ。しばらく流しておけば大丈夫だと思うけど、もし嫌なら外の共同洗面所を使えば?」  このプチホテルは洗面所兼シャワールームは各部屋にあるけれどトイレはなく、お風呂は貸し切り出来るのを交代で使う事になっている。  団体客や家族連れ対策の為か部屋の外にも大き目の洗面所があり、その側に共同トイレも設置されていた。でも何故か、そこも何とも言えず嫌な感じがした。
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