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「確かに真っ赤というよりは赤銅色だったかも」
自分の勘違いに照れながらも、胸騒ぎが拭えなかった。
「そろそろ行こうか」
気付けば夕食の時間。私と彼は連れ立ち、食堂に向かった。
宿泊料金なりの夕食をいただき、予約した時間に貸し切り風呂を堪能する。
「ちょっと疲れたな。今日は早目に休んでもいい?」
確かに彼に運転は任せきりだったし、私も久しぶりの旅行ではしゃぎすぎていた。それに起きていれば余計な事を考えてしまう。早く眠ってしまった方がいいとも思えた。
「そうだね、そうしよう」
直ぐに同意したが、それでも常に嫌な感じはまとわりついていた。
そして、就寝。
灯りを消した暗闇の中、隣の彼は運転の疲れからか既に寝息を立てている。
しかし、何故か私は異常に目が冴え出してしまっていた。
眠らなければ、そう思えば思う程に焦ってしまう。
枕が変わったせいだけではない。居心地が悪くて悪くて仕方なかった。
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