CASE.3 C子さん(仮名)

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 反射的に絶叫していた。  夢なのか現実なのか。訳がわからず、パニックだった。  揺さぶられ、目を開ける。その先に心配そうに覗き込む彼がいる。 「どうした?」  半泣き状態で起き上がり様に抱き付く。体の震えが止まらなかった。 「よしよし、怖い夢でも見たんだな」  夢? あれは夢だったのだろうか?  夢の中でまた夢を見た?  わからない。わからないけれど、一つだけ言えるのは…… 「ここには……いたくない」  翌朝、用意された朝食もそこそこに私達はチェックアウトした。  車の窓から遠ざかる建物を見ながら考える。  あれは私の強迫観念が招いた悪夢だったのだろうか?  それとも、やはり何かがいたのだろうか?  何もわからない。正直、知りたくない。  けれども、あの夜の事は今でも生々しく思い出せる。
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