番外編

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美しいドラゴンだ。まるで空のように青い鱗を全身に纏い、太陽の陽が反射してキラキラと輝いている。そしてお伽噺以外には存在しない金色の瞳は真っ直ぐ少女を貫いていた。 死ぬ恐怖はないが、痛みが来ることに恐怖を覚えた。痛いのは嫌だ、我が儘だろうが痛くなく死にたい。このドラゴンは私の肉体を惜しむことなく食べ、最低でも今日1日の行動の糧としてくれるだろうか。 少女は美しいドラゴンから目を反らしことなく、死ぬ時を目前にて待つ。しかし、ドラゴンもまた少女を見定めるように見ている。顔を近づけ、金色の瞳に少女の惚けた顔が映った。 「グル……」 ドラゴンは目を細めて、一つ唸る。尾を伸ばし、少女の背中に回した。同時にドラゴンは背を向けて歩き始める。 「……ついて来いってこと?」 ドラゴンは答えなかったが、そういう意味だと確信する。
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