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しばらくドラゴンの後をついていくと、生い茂る森林を抜けて広い空間に出た。果実がなる木々に囲まれ、花は木の根元で揺らぎ、目映い光の粒が溢れていた。様々な色に囲まれた神秘的な空間に、少女は目を奪われる。
「光が……きれい……」
普段から見える光の粒。しかしそれは普通の人間には見えないもので、少女だけが見ることを許されたもの。親兄弟や隣人など誰にも見えておらず、今より幼い頃はよく考えもせず発言しては妄想だと虚言だと罵られ気味悪がられたものだ。
だから咄嗟に口を手で覆った、いつものように。しかし、今は少女の発言を咎める者はいない。そろっと手を下げた。
下がっていた目線を前方に向けると、ドラゴンが顔を少女に向けていた。
「え──」
少女のビクリと身体が跳ねる。
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