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ドラゴンの尾が少女の背中に回り、前方へ押し出される。目に映った景色は少女を驚かせた。
「凄い! こんなに妖精さんがたくさん!」
数多の光の粒が、瞳に映し出される。
その光はヒトのような姿をしており、宙を蝶のようにひらひらと可憐に飛ぶ。ヒトと違うのは、透き通った四枚の羽と掌サイズの体躯だ。
少女は前へ踏み出し、光の粒に手を伸ばす。今まで見た中でも多くて五本の指に収まる程度。これほどの数を見たのは初めてのことだった。
「可愛い……」と少女が呟く。
「それらは妖精ではなく、精霊というのだ」
唐突に聞こえてきた声に、少女は背後を振り返った。そこにいるのは当然ドラゴンしかいない。
「いや、まさかね……」
「何がだ?」
ドラゴンは確かに大きな口を開き、人間と同じ言葉を発した。
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