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「あ、え……っ!?」
少女はドラゴンに指をさして驚愕した。
「ヒトに指を向けるなと教わらなかったのか? 不愉快だ」
「あ、ごめんなさい……。ドラゴンが言葉を話すなんて初めて知ったから」
「普通は話さないからな。当然の反応だ」
「普通はってことは、あなたは普通じゃないの?」
少女はそう言ってから、自分の失言に気づいて目を伏せた。
自分がその「普通」に該当していなかったからこそ、家族に捨てられ、ここにいるのだ。家族に捨てられて惜情することは覚悟していたため、今さら何ら感情を抱きはしない。しかし自分が周囲とは異なり、異質な存在であることには疎外感を覚えていた。
「あの、ごめんなさい……」
「なぜ謝る?」
「普通じゃないって言ったから。嫌だったでしょう?」
「気にしてない」
そう言って、ドラゴンは姿勢を崩した。
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