漆黒の元帥

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西の国の中心に一際目立つ大きな建造物がある。 その巨大な建造物の正面に掲げられた『フロルガーデン』という彫刻文字。 数十年前に設立されたこの『フロルガーデン』は、城のような外装をしているが、内装は豪華とは程遠い見目をしており親しみ易さで溢れていた。 その廊下を、多忙に駆ける者や雑談しながら歩く者と様々だ──点々と違う色のローブを纏っている姿が見受けられる。 だが、そんな今日、周囲に溶け込むには目立ちすぎる格好をし、周囲とは正反対の心情を抱えた人物がいた。 その人物は『フロルガーデン』を足早に歩いていた。畏怖を主張する黒に身を包み、息を呑むほどの重苦しい緊張が芽生えてしまう。
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