第十章:噂の爪痕・前

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「今日は練習休んで頭冷やせって顧問に言われて……迎えに来たんだ、瑤子さんを」  帰り道、尚斗は無言だった。 一緒に並んでいても、こちらに視線が向けられることすら、なかった。  瑤子のほうも、そんな尚斗の態度に、何をどう話せば良いのか分からずにいた。 「今日……ご飯、食べていく?」  それでも、いつものように、瑤子を家まで送り届けてくれた尚斗に対し、ためらいつつ声をかける。 思えば、そんな風に尋ねるのも、久しぶりのことだった。
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