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高校生だった妹が、ある日突然、猫を貰って来た。
「猫屋敷」と呼ばれる同級生の子の家から、雪のように真っ白な猫をだ。
私は子供の頃、小児喘息を患っていて、発作が起きると夜中でも病院送りにされ、入院も何度か経験していたので、実家では「動物を飼う事」が禁止されていた。
動物の毛が喘息に良くないと、母が思ったからだ。
長期的な治療のおかげで、大人になった今では喘息が出る事はほぼ無いが、私が高校を卒業と同時に上京してから、「猫を飼いたい」と常々思っていた妹は、親の許可もなく、勝手に猫を連れて帰って来た。
自室でこっそり飼うつもりが、案の定ばれて、母と一悶着あったらしいが、結局は母が折れた。母も元々、猫好きだったのだ。
「猫の名前、『サブ』と『メーテル』どっちがいいかなぁ?」
妹が電話越しに訊ねる。
何でその二択なんだ?と姉は思ったが、雄猫だったので、メーテルはないなと思い、「サブでいいんじゃね?」と返すと、
「やっぱ、キタジマだよねぇ」と納得したように呟いた。
そして、『サブ』は我が家の一員になったのだ。
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