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ゴロニャンの季節(母命名:要するに発情期)になると、1週間位は家に帰って来ない。
母が心配して、庭先でティキちゃんを呼んでいると、家の前の山から駆け下りて来たという逸話もある。
そんなティキちゃんが、ある日、突然姿を消した。
ふらりと家を出て行ったまま、もう1ヶ月も帰って来てないのだという。
「こんなに長い間、帰って来ないなんて、今までない」と猫の不在を心配する母から、電話を貰った。
爺様が毎日のように自転車で近辺を捜索したけれど、ティキちゃんらしき猫に出会う事はなかった。
「車に轢かれて、カラスに食われちまったんじゃねぇか?」
爺様は縁起でもない事を言い出す。
3ヶ月、半年と時間が過ぎて、家族も「もう、ティキちゃんはお星さまになったんだ」と諦めモードに入った。
雄猫は自分の死期が迫ると旅に出るのだという。
ティキちゃんは人間の歳に換算すると、かなりのお爺さんだ。
家族にそっと別れを告げ、どこかで静かに眠っているのかもしれないと、私たちは結論を出した。
そして、ティキちゃんが蒸発して、7ヶ月後、実家では新しい猫を迎えた。
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