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とあるビルの3階、『アイザワ探偵事務所』と書かれたドアの中、夏の日差しが差し込む部屋に、二人の男がいる。
「いやあ、今回も助かったよ。本当はこっちがもっと頑張らねぇとダメなんだがな」
少し乱暴な物言いの男、辻本 信(つじもと まこと)は、自身の丸めた頭を撫でながら笑った。
色黒の壮年で、スーツの上からでも分かる程の筋肉の膨らみ。
身長も高く、その大きな身体で、心なし窮屈そうに応接用のソファーに座る姿は、どう見てもその筋の方に見える。
「警察だって、人が足りなくて大変なんだろ?僕も貰うものは貰ってる。気にすることじゃないさ」
長い付き合いである警察官、辻本にそう返す青年がこの部屋の主、相沢 翔(あいざわ しょう)。
コーヒーカップを持つ指は細く、同じく色白で華奢な身体は、どこか儚げな印象を持たせる。
極めて中性的な容姿で、身長も160cm半ばだろうか。
黒いTシャツにジーンズというラフな格好ではあるが、女装でもしようものなら、世の男性は放っておかないだろう。
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