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肩にかかる真っ直ぐな黒髪、そのどこか女性的な魅力故に、一際目を引く右目の眼帯。
隠すように伸ばされた前髪の奥で佇む眼帯が黒なのは、髪の色に合わせて目立たなくするためなのだろうか。
しかし、肌の色が透き通るような白であるため、逆に異様な存在感を放っている。
「人が足りねぇってのもあるが、最近の若い奴らは根性がねぇ。聞き込み一つとってもすぐ疲れた顔しやがる」
タバコに火をつけ、ソファーに深く寄りかかりながらため息をつく。
捜査は足だ、というような昔堅気の警察官なのだろう。
翔は笑って聞き流しながら、飲み干されたコーヒーのカップを二つ持ち、キッチンへ向かう。
入り口のドアから入った正面、パーテーションに仕切られた奥に、辻本の座る来客用の応接間。
左手側には、デスクトップ型のパソコンが置かれた大きめの作業用机とコピー複合機が鎮座している。
右手側に簡易キッチンがあり、その奥は翔の生活スペースだろうか、カーテンで仕切られている部屋は、中の様子が伺えない。
翔は「会うたびに行ってるよ、それ」と言いながら、新しいコーヒーを置き、座る。
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