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強面の警察官は、ゴツゴツした手でコーヒーを受け取り「そうだっけか?」と豪快に笑う。
「それに比べりゃあ、本当にお前は立派になったもんだ。昔はあんなにチビで泣き虫だったのが、今じゃ警察からの依頼も受ける凄腕の探偵様だもんなあ」
「それも会うたびに言ってる。いつまでも子供扱いしないでくれよ。もう今年で26なんだから」
少し不服そうに眉を潜めるが、昔から年の離れた兄のように慕ってきたこの男には、悪気も何もないのはわかっている。
「それに僕は警察からの依頼を受けるんじゃない。信さんの依頼だから受けてるんだよ」
翔は、警察官という人種はどうしても好きにはなれなかった。
けれど目の前で、強面のくせに無邪気な笑顔でタバコを燻らすこの男とのやり取りは、居心地が良く、ひどく安心するのだ。
「そうだったな。しかしまぁ、俺とお前が対等な立場で仕事するようになったわけだ」
辻本は感慨深げに目頭を押さえ、タバコを灰皿に押し付ける。
「広行さんが今のお前みたら、泣いて喜ぶんじゃねぇかなぁ......っと、悪りぃ、変な話になっちまった」
不意に翔の顔を見上げ、少しバツが悪そうに笑う。
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