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「客か?」
辻本は出口に向かおうとした足を止め、翔に顔を向ける。
「いや、今日はそんな予定はなかったはずだけど」
言いながら、突然の来客に備え早足で二人分のコーヒーを片付ける。
「なら、この間言ってたアシスタント募集の希望者じゃねぇのか?」
「あぁ、そんなの今まで忘れてたよ。ビルの入り口にチラシ貼っただけだし、本気で困ってるわけじゃないし」
コーヒーを片付け終え、出入り口のドアに向かいながら言うと、今度はいたずらっぽく笑う。
「あ、少し隠れててよ?信さんの顔見たら、初対面のお客さんびっくりして逃げちゃうんだから」
辻本はふん、と小さく不満を表すと、翔の作業用デスクに腰掛けた。
それを横目で確認すると、翔は「はーい」と小さく声に出しながらドアを開ける。
すると、翔の左目の視界一杯に、人間の頭頂部が見えた。
それが、深々と頭を下げる少女だと気付くのに少し時間を要した。
「あっ、あの!その!あああたし、アイザワ探偵事務所さんですかっ!?」
これが、相沢 翔と岩住 理沙(いわずみ りさ)の出会いだった。
この出会いにより、青年はもう一度過去と向き合うこととなり、少女は過去と闘うこととなるーーー。
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