2人が本棚に入れています
本棚に追加
雪乃は、とっさに動けず、“それ”の動きを黙って見ていることしかできないでいた。
《ヒュッ》
《ザシュッ》
という風を斬る音と同時に何かが目の前を掠めた。
ゆきのは、ゆっくりと視線を音がしたほうに向けると
さっきまで自分に襲いかかろうとしていたものが、胴体から真っ二つに切れていて、切られたところから黒い霧のようなものが出ている。
視線を、手前に立つ長身で栗色の髪の男の手を見ると、銀色に鈍く光る刀が握られていて緑とも黒とも見える液体が、刀身から滴っていた。
冬夜は、刀をヒュッと一振りして、血を振り払い、
「あぶなかったな、おま…」
「ぎゃあああああああああっっ?!」
雪乃は腰が抜けてその場に座り込んでしまった。
「な、な、な、何、いま、の!」
冬夜は、面倒臭そうに雪乃に近づき
「お前、反応おせーな。あ? あれか?
バケモン。」
「ば、ば、バケモンて!」
「どもりすぎじゃね?
バケモンはバケモンだよ。
てか、なんでお前こんなとこにいんの?」
「それは、こっちのセリフよ!!
てか、なんでそんな物騒なモン持ってる の!」
最初のコメントを投稿しよう!