第1章

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雪乃は、とっさに動けず、“それ”の動きを黙って見ていることしかできないでいた。 《ヒュッ》 《ザシュッ》 という風を斬る音と同時に何かが目の前を掠めた。 ゆきのは、ゆっくりと視線を音がしたほうに向けると さっきまで自分に襲いかかろうとしていたものが、胴体から真っ二つに切れていて、切られたところから黒い霧のようなものが出ている。 視線を、手前に立つ長身で栗色の髪の男の手を見ると、銀色に鈍く光る刀が握られていて緑とも黒とも見える液体が、刀身から滴っていた。 冬夜は、刀をヒュッと一振りして、血を振り払い、 「あぶなかったな、おま…」 「ぎゃあああああああああっっ?!」 雪乃は腰が抜けてその場に座り込んでしまった。 「な、な、な、何、いま、の!」 冬夜は、面倒臭そうに雪乃に近づき 「お前、反応おせーな。あ? あれか? バケモン。」 「ば、ば、バケモンて!」 「どもりすぎじゃね? バケモンはバケモンだよ。 てか、なんでお前こんなとこにいんの?」 「それは、こっちのセリフよ!! てか、なんでそんな物騒なモン持ってる の!」
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