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「…は?魔女?」
椿はきょとんとした声を出す。
今時魔女とは。
何を言いだすのだろう、この人は。
椿は、そんな様子だった。
「そうそう、魔女♪どう?いや~、錬金術の一つにさぁ、如何しても魔女…っていうか、君らみたいな人の協力が必要なんだよね~?」
男はあくまで楽しそうだ。
「魔女?錬金術?何…それ。あたしをからかってるの?……それに、興味、ありませんから」
そんな男の様子に、椿は呆れた声を出す。
そして歩き出した。
「あぁ、待って待って!…お姉さん、探してるんでしょ?」
男は慌てて引き留めた。
先ほどまでのふざけた様子は何処へやら。
一気に真剣な声だった。
「…!何で、その事…!?」
椿は驚いたように足を止め、振り返る。
姉を探していることは、誰にも言ってない筈なのに。
「ま、色々と、ね…。どう?俺を助けると思って魔女になってくれるんなら…お姉さんを探すの、手伝うよ?」
交換条件。
そんな風に男は話した。
「……本当に…姉さんを…?」
椿は拭えない疑惑を持ちかける。
あんなに探しても見つからなかった姉が、見つかる、のだろうか。
「もっちろん!俺は、約束は違えないよ」
また、にこり、と笑って男は言った。
『魔女なんて…冗談にも程がある……。…でも…本当に、姉さんを探してくれるなら…』
所詮、魔女なんておとぎ話だ。
椿はそう思った。
それに今は、何よりも姉を探したい。
その心が椿を決意させた。
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