キスフレ2nd kiss Vol.27

2/40
前へ
/40ページ
次へ
「感想は?」 彼が拍手の間から尋ねる。 「めちゃめちゃ死ぬほど恥ずかしい。 こういうことするならするって、事前に言ってよ」 「話していたら、恥ずかしがって、式に来なかっただろ?」 ぱらぱらと消えかかる拍手の波のなか、 ウエイターが無人の私の席へと近づき、テーブルの上に皿をまた一つ増やした。 「何でもお見通しなんだね」 「まあね、元彼だから」 小さくできた赤いニキビを、ぷつりと針で突かれたみたいだった。 熱を持っているそれは、ジンジンと痛む。 「ちょっと、ごめん」 私は扉を開けて外へと出た。 小栗は「あっ」と小さく声を上げたが「おぐりせんぱいいいいいい!!」 という、大野君の歓喜の悲鳴が響き、扉が静かにしまった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

572人が本棚に入れています
本棚に追加